あらすじ
その旅の理由を、彼女はまだ知らない。
地球で暮らしていた日本人の女性・文(あや)は、目を覚ますとエルフの国にいた。
覚えているのは、幼い頃に亡くなった祖母のことだけ。
長老エルカディアに保護されながら、文は命の樹に見守られた村で静かな暮らしを始める。
畑に出て土に触れ、
水辺で風の音を聞き、
時には料理を作って誰かと食卓を囲む。
穏やかな日々の中で、文は少しずつこの世界を知っていく。
やがて彼女は「フィーネ」という名を授かり、村の外へ旅立つ。
それは、世界を救うための旅ではない。
誰かの暮らしの隣を歩き、
土地の澱みを整え、
失われかけた巡りを静かに繋いでいく旅。
人はなぜ生まれるのか。
生きることに意味はあるのか。
答えは、すぐには見つからない。
けれど歩き続けた先で、いつか出会うものなのかもしれない。
これは、一人のエルフが世界を知り、人と出会い、生きることを静かに見つめていく異世界ファンタジー。