あらすじ
勇者にも負けなかった。古竜にも負けなかった。魔神にも負けなかった。
そんな魔王アークロードが人生で初めて敗北した相手――それは宿屋の看板娘セリスティアの料理だった。
一口食べれば三日寝込み、二口食べれば神官が呼ばれ、三口食べれば遺言を書きたくなる。
常連客たちから「料理災害」と恐れられる彼女だが、本人だけは自分を料理上手だと信じて疑わない。
そんな彼女が作る謎の紫色スープを、なぜか毎回完食してしまったアークロード。
気付けば彼は、毎日部屋へやって来る彼女を待つようになっていた。
そしてある朝。
涙を浮かべたセリスティアは、人生最大の勇気を振り絞って告げる。
「毎日、私の料理を食べてくれますか?」
――それは世界で最も危険なプロポーズだった。
後に大陸統一帝国の初代皇帝と皇后として歴史に名を残す二人が出会った時、誰も予想していなかった。
魔王を倒したのは勇者ではない。
伝説の英雄でもない。
一人の料理下手な少女だったことを。