あらすじ

——読むな。これは、僕が生き延びるために放流した「本物の呪い」だ。 姉を亡くし、その夫である義兄・さかえの家で暮らしているフリーライターの小鳥遊陽充。 飄々としてつかみどころのない義兄に子ども扱いされながら、SNSから情報を集めたり、現地取材をしたりして、日々の仕事に追われていた。 ある日陽充は、SNSで急速に拡散されている謎の画像「くろいくねくね」を目にする。 廃墟の奥に映り込んだ、黒い人影。 それを境に、陽充の周囲にも「黒い何か」が現れ始めた。 「見ない、聞かない、知ろうとしない」 何も考えてはいないように見えて、怪異への対処だけは奇妙に手馴れている義兄からはそう警告されてしまうが、ライターである陽充は好奇心を止められない。 しかし、調べれば調べるほど、怪異は近づいてくる。 そして、やがて陽充は知る。 かつて、口伝や噂話によって渡り歩いた「流行り神」。 それは今、SNSという最悪の媒体を得て拡散し、さらに別種の怪異「くねくね」と融合することで、災厄に近い存在へと変貌していた。 画像、動画、配信、拡散。 一度「認知」してしまえば、怪異は認知した人間に取り憑く。 とりついた「それ」を、「理解」してしまえば「何かが終わる」。 そして、その呪いから逃れる方法は、ただ一つ。 ――誰か別の人間に「認知」させること。 「書けば、誰かに怪異を押し付けてしまう」 「けれど、書かずにはいられない」 どこにいても現れる「それ」。 誰かに「認知」させる以外、逃れる道はない。 恐怖と倫理、そしてライターとしての業の狭間で揺れる陽充。 陽充を守るため、ライターの業の命ずるままに「書いてもいいのだ」と諭す義兄・さかえ。 やがて陽充は苦しみながらも決断する。 自らの記事によって、「くろいくねくね」をネットへ放流することを。 それが、誰かを身代わりに差し出す行為だと知りながら。 怪異は人から人へ渡り歩く。 認知は感染し、恐怖は拡散される。 SNS時代の都市伝説と“流行り神”をテーマに描く、現代怪異譚。 ――あなたが今からこの物語を読み、どのような目に遭おうとも、筆者は一切の責任を負いかねます。

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小説を読もう2026/06/05
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