あらすじ
王国騎士リュカは、神殿を襲撃した魔族の指揮官セレネに殺された。
だが次に目を覚ましたとき、彼は魔族兵ルクになっていた。
しかも目の前にいたのは、自分を殺したはずの女だった。
「命令だ。生きろ」
敵に殺され、敵として生かされる。
それが、リュカの二度目の生だった。
その後も彼は、死ぬたびに別の名と身体を得る。
魔族兵ルク。
遺品回収人ロア。
名簿庫司書レヴ。
名を変え、立場を変え、彼は神殿が隠していた真実に近づいていく。
神殿は、死者の名を名簿で管理していた。
名簿にない者は、輪廻へ帰れない。
遺品すら奪われ、燃やされ、存在したことさえ消されていく。
それでも、忘れない者たちがいた。
リュカを守れなかった女騎士ラヴェリア。
殺したはずの男に、「生きろ」と命じた魔族の指揮官セレネ。
燃やされる遺品を抱きしめ、「これがないと、帰れないの」と言った少女イーラ。
死者を名簿で選ぶ神殿に、彼女たちは抗う。
奪われた名を、消された死を、なかったことにはさせない。
死ぬたび別の名で生きた彼は、やがて門の前に立つ。
名簿にない死者は、本当に帰れないのか。
人の名を奪い、輪廻さえ支配しようとする神殿に、彼は最後の答えを突きつける。