あらすじ
侯爵家令嬢エレノア・ヴァレンティアは、婚約者である侯爵家嫡男レオナルドとの結婚を控えていた。
しかし現実は、令嬢とは名ばかりだった。
帳簿管理、取引先対応、使用人管理、催事準備――侯爵家を支える膨大な仕事を一手に引き受けながらも、義母マーガレットと婚約者レオナルドから感謝されることはない。
「お前はそれしか取り柄がない」
「どうせ侯爵家に養われているだけの女だ」
そう言われ続け、自分には価値がないのだと思い込んでいた。
そんなある日、婚約者が若い令嬢ソフィアと関係を持ち、自分を追い出そうとしていることを知ってしまう。
さらに亡き母の形見まで勝手に処分され、ついにエレノアの心は限界を迎えた。
――もう、こんな家にはいられない。
深夜、エレノアは誰にも告げず侯爵家を去る。
そして辿り着いた先は、かつて仕事上の縁があった有力侯爵アレクシス・グランディアの屋敷だった。
初めて与えられた優しさ。
初めて受けた正当な評価。
そして初めて知った、自分自身の価値。
一方その頃、エレノアを失った侯爵家では少しずつ異変が起き始めていた。
誰も気付いていなかった。
家を支えていたのが、見下していたエレノアただ一人だったことに。
やがて崩壊していく侯爵家。
焦り始める婚約者と義母。
そして始まる反撃。
これは、無能と蔑まれた令嬢が本当の評価と幸せを手に入れ、彼女を利用し続けた者たちへ現実を突き付ける逆転劇である。