あらすじ
「君より麦の方が大事だ」──刈り入れ祭を三日後に控えた日、私は七年間連れ添った婚約者・蒼真にそう言い捨てられた。村長の跡取りである彼が選んだのは、都会からやってきた美しい令嬢。不作続きの農家の娘である私は、村中の嘲笑の的となる。けれど私は知らなかった。なぜ私の畑だけが実らないのか。なぜ祖母が遺した古い穂飾りが、私の手の中で淡く光るのか。そして──この村の豊穣が、代々私の一族によって守られてきたという真実を。刈り入れ祭の夜、全ての秘密が明かされる時、黄金色の麦畑は誰に微笑むのか。傲慢な元婚約者が全てを失い、ずっと私を見守っていた幼馴染が差し伸べる手。これは居場所をなくした農家の娘が、本当の自分と本当の愛を見つけるまでの物語。