あらすじ
『しあわせな時』
(※「幸福な時間」という意味の『幸せ』と、壊れた二人が出会ってしまった運命の巡り合わせという意味の『仕合せ』のダブルミーニング)
【キャラクター詳細設定】
〇 主人公:山本 健太(やまもと けんた)/ 26歳
【表の顔】 一流大学を卒業し、誰もが羨む一流企業に就職したエリート会社員。社会人になってから容姿やファッションに磨きをかけ、地位もお金も手に入れた。一見、スマートで余裕のある「大人の男」であり、周囲の女性たちからは憧れの的。趣味は映画鑑賞。現実のドロドロした人間関係から逃れ、唯一無防備になれる聖域として映画館に通っている。
【裏の顔・過去】 幼少期に母親から一切の愛情を注がれずに育ち、心に深い空洞を抱えている。さらに高校時代には、クラスの女性グループから執拗で壮絶ないじめを受け、自尊心を徹底的に粉砕された。この経験から、女性という生き物に対して激しい不信感と、裏返しの「憎悪」を抱いている。
【歪んだ行動原理】 社会的地位や容姿を手に入れた途端、かつて自分をいじめていたような女性たちが手のひらを返して好意を寄せてくることに、激しい嫌悪と軽蔑を感じている。健太にとって女性と関係を持つことは「愛」ではなく「復讐」である。あえて女性に近づき、本音にもない甘い言葉で誘惑し、一夜限りの関係を持っては冷酷に使い捨てる。女性の心を弄び、傷つける日々を繰り返すことで、救われなかった学生時代の自分を必死に慰めようとしている。しかし、どれだけ女性を傷つけても心の空洞は埋まらず、常に深い虚しさと孤独を抱えている。
【愛の認識】 健太にとって「愛」とは、**『自分を強くしてくれる盾』**である。愛されなかった過去、いじめられたトラウマをすべて覆い隠し、自分を正しい人間へと再生させてくれる絶対的な救い。愛を得られたとき、自分は初めて本当に強い人間になれると信じている。
〇 ヒロイン:黒田 めぐみ(くろだ めぐみ)/ 26歳
【表の顔】 実家は誰もが知る資産家で、何不自由ない環境で育ったお嬢様。両親からも周囲からも溢れんばかりの愛情を受けて育ち、大学もエスカレーター式で進学した。可憐で愛嬌があり、誰に対しても屈託のない笑顔を向ける。趣味はカメラ撮影で、いつも首からお気に入りのカメラを下げている。映画館でたまたま健太の隣の席になり、映画の感想をきっかけに親交を深めていく。
【裏の顔・過去】 周囲からは「恵まれた幸福な女性」に見えるが、その実態は**「大人の期待に応えるために内側から完全に壊れていったお人形」**。幼少期から、自分が何を言えば親や周囲の大人が喜び、何をすればがっかりするのかを「手にとるように」理解していた。我儘を言うことは一切許されず、大人の顔色を完璧に窺いながら、望まれる言葉と行動を選び続けてきた。偽りの自分(お人形)を演じれば演じるほど、周囲からは「綺麗な愛のボール」が投げられるという地獄のようなシステムの中で生きてきたため、真の愛の価値が分からず、歪んだ破壊願望を抱えている。
【歪んだ行動原理】 高校時代、クラスの隅で凄惨ないじめを受けていた健太のことを、教室の後ろからずっと観察していた。周囲の顔色を窺うだけの空っぽな自分とは違い、泥水をすすりながらも感情を剥き出しにし、自分の足で這い上がろうとしていた高校時代の健太は、めぐみにとって「正しき人の在り方(=ヒーロー)」に映っていた。しかし、社会人になった健太が自分と同じように「歪んだ人間(女性を弄ぶゲス)」に成り下がっているのを見て、激しい嫉妬と歓喜を覚える。「お前もこっち側に来たんだね」と。
めぐみの目的は、健太を単に破滅させることではない。**健太をもう一度、あの気高かったヒーロー(愛を信じる正しい人)に戻し、最も無防備になった瞬間に奈落の底へ突き落とすこと。**それによって健太の正しさを否定し、強いては自分の歪んだ生き方を肯定しようとしている。
【愛の認識】 めぐみにとって「愛」とは、**『得た瞬間から失う恐怖が始まる呪い(鎖)』**である。だからこそ、他人の自尊心を完全に打ち砕き、感情を100%コントロールすること(支配)でしか、自分の愛の器を満たすことができない。