あらすじ

かつて世界は、|魔法戦争時代《マギア・ウォーズ》によって荒れ果てていた。 戦場で亡骸を埋めていた二人の少年が出会う。敵対する二つの王国に生まれた王族の子供同士。けれど二人は、死者を土に還しながら誓った。 いつか誰よりも強くなり、この世界を平和にすると。 黒魔法を操る王子シオン。聖魔法を操る王子レオンハルト。 二人はやがて、並び立てばどんな敵も倒せる最強の英雄となった。相棒であり、半身であり、正式な儀式こそなかったものの、戦場で命を預け合う伴侶同然の存在だった。 喧嘩しても、明日も隣に立つ。傷つけ合っても、敵の前では互いの背を守る。世界が焼ける夜にも、二人は伴侶めいた言葉を交わしていた。 だが、二人の母国が同盟を結ぼうとした日、片方の王が殺される。同盟は破綻し、世界は再び戦火へ落ちた。 父を失ったシオンは、レオンハルトを憎み、禁忌の|夜葬の書《ノクターン・グリモワール》を取り込む。黒魔法は心身と魂を侵し、やがて彼を|黒い災厄《ブラック・カラミティ》へ変えた。 母国も。レオンハルトの国も。戦争を続けていた諸国も。人類の大半も。シオンはすべてを壊した。 そして最後には、自分を殺せる唯一の相手であるレオンハルトに、わざと討たれた。 世界は歓喜した。黒い災厄の死を祝い、レオンハルトを|聖なる英雄《セイクリッド・ヒーロー》として讃えた。 けれど誰も知らない。 災厄も英雄も、本当は同じ平和を見ていたことを。英雄は、愛した伴侶を自分の手で殺したことを。災厄は、世界を救うために自分だけを悪役へ落としたことを。そして、二人の同盟を壊し、シオンを災厄へ、レオンハルトを英雄へ仕立てた黒幕が、歴史の裏側にいたことを。 長い時が流れ、二人は|高等魔法学院《マギア・アカデミア》で転生する。 今世では、どちらも王族ではない。ただの平民出身の特待生。 黒い災厄だったノア・クロウは、記憶持ちであることを隠し、黒魔法科の問題児として笑って生きようとする。聖なる英雄だったレオ・アルベルは、記憶を持ったままノアを見つけ、再会直後に|赤い糸《レッド・ヴェイン》を結ぶ。 さらに、ノアが一定以上の黒魔法を使うと黒猫になる|黒猫の枷《ノワール・リンクス》を重ねる。日常生活では、契約者と対象者にしか見えない|伴侶首輪《ヴァウ・カラー》までノアの首元に置く。 「君と僕は伴侶だ」 けれど、ノアに対する愛だけは壊れていた。

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小説を読もう2026/06/05
  • 現在の作品黒い災厄は、聖なる伴侶の檻から逃げられない~ 前世で俺を殺した英雄が、今世では赤い糸と黒猫の枷で離してくれない~