あらすじ
百年に一度、空から羊が降る国。
羊が降る年は豊作になり、人々は空を見上げて季節の訪れを祝う。
けれどその年、羊が降りはじめた日から――夕日が、沈まなくなった。
空は永遠の黄昏色。夜も、朝も、来ない。
終わらない夕暮れの下で、麦は実らず、星は眠り、世界はゆっくりと息を止めていく。
夕暮れを愛し、変わることを恐れていた少女は、
ただ一匹だけ、金色の角を持つ羊と出会う。
「月が、帰れなくなったんだ」
止まった時間を、もう一度動かすための、小さな旅。
そしてこれは、世界を救う物語ではなく――
〝手放すこと〟を受け入れる、やさしい別れの物語。
🐑🌙 読み終えたあと、静かに胸の奥があたたかくなる幻想譚。