あらすじ
過労死した50歳のサラリーマン・崎山ゆうは、異世界の貴族家の長男として転生した。
女神から授かったスキル「異世界ダイナリ」は、前世で読んだあらゆる異世界転生作品の知識と可能性を引き出せる力。魔法も剣術も内政も、正しい道さえ知れば習得できる——ただし、努力なしには何も得られない。
それでいい。五十年間、ただ積み上げてきた魂には、むしろそのほうが性に合っていた。
幼い頃に出会った公爵令嬢リリス。社交シーズンに顔を合わせるたびに、ユウの想いは静かに、しかし確かに育ち続けた。告白も独占欲も封印して、ただ「幼馴染」として傍にいた十年間。
そして十五歳のある日——王太子が衆目の前でリリスへの婚約破棄を宣言した。
誰もが沈黙する中、ユウだけが立ち上がる。
「あなたは何も悪くない」
打算はない。政略もない。ただ、好きだから。十年分の、静かで確かな想いがそうさせた。
傷ついたリリスは戸惑う。「同情か、打算か」——それでも、十年の記憶が否定させてくれない。
50歳の魂を持つ転生者と、婚約破棄された公爵令嬢の、不器用で誠実な恋の物語。