あらすじ
「お前の付与は、効いていない」――そう言われ、公爵家お抱えのパーティから“役立たず”として追放された付与術師、ノア。彼自身も、自分の力には何の価値もないと、ずっと信じ込んでいた。
だが、それは大きな間違いだった。ノアの付与は規格外――効果が現れるのは“他者”の側で、しかも本人にも見えない。彼がそっと手をかざすだけで、相手は桁違いの力を得る。なのに当人は「みんな、元から強いんだなあ」と、自分の力に、まるで気づかない。
辺境への道で、ノアは捨てられた元戦奴隷の少女・リーゼを拾う。彼の付与で剣聖の域に覚醒したリーゼは、生まれて初めて“道具”でなく“人”として扱われ――彼に、重く、依存し始める。寂れた辺境の町ラスティで、没落令嬢シャルも救い、二人と町を、静かに蘇らせていく。
救えば救うほど、少女たちは“彼なしでは生きられない”ほど重くなり、死にかけの町は活気を取り戻す。だが、ノアを捨てたはずの元リーダーが、やがて公爵家そのものが、彼の“価値”に気づいて回収に動き出す。
差し向けられた私兵を、当主直々の騎士団を、覚醒した少女たちと町ぐるみで撃退する。「――効いていなかったのは、どっちだ」。追放した側こそ、彼の付与に依存していたのだと思い知る、痛快なざまぁ。ノアは生まれて初めて「守りたい」と願い、辺境に“帰る家”を得る。ただし、自分の力の正体も、少女たちの愛の“重さ”の意味も、最後まで気づかないまま。