あらすじ
結婚して七年。夫との生活に不満はないはずだった――。
出版社で働く三十二歳の女性・柏木紗季は、仕事帰りに立ち寄った古書店で、かつて大学時代に想いを寄せていた男・榊蓮と再会する。
互いに既婚者。踏み込んではいけない関係だと分かっていながら、二人は「少し話すだけ」の距離を繰り返してしまう。
誰にも言えない時間は、孤独を埋めるように優しく、そして残酷だった。
嘘をつくたび、壊れていく日常。
それでも紗季は、蓮と過ごす夜だけが“本当の自分”でいられると気づいてしまう。
最後に彼女が選ぶのは、愛か、家庭か。
そして“幸せ”とは、誰を傷つけないことなのか――。
静かな痛みと再生を描く、大人の恋愛小説。