あらすじ
高校二年生の朝比奈悠斗は、母・真紀と二人暮らしをしている。父は幼い頃に家を出ていき、母は昼も夜も働きながら悠斗を育ててきた。しかし悠斗は、そんな母に感謝するどころか、「どうして普通の家庭じゃないんだ」と不満ばかり抱えていた。
ある冬の日、真紀が突然倒れ、入院することになる。初めて一人になった悠斗は、母がどれほど自分のために時間を削り、夢を諦め、生きてきたのかを知る。台所に残された古びたレシピノート、何度も縫い直された制服、そして押し入れの奥にしまわれていた未送信の手紙――。
「ちゃんと、愛せていたかな」
母の残した言葉が、悠斗の胸を締めつける。
不器用な親と、不器用な子ども。すれ違い続けた親子が、“家族”になり直すまでを描いた、切なく優しい親子小説。