あらすじ
ソレイリィ侯爵家の四女で、待望の嫡男の双子の妹、つまり「余計なおまけ」として実家で平民同然に育てられたミルテ。彼女は親代わりの老会計士から、計算能力という最強の武器を授かっていた。
国境を守る冷酷無比な「氷の刃」ことアルテミオ・ゼーハイル辺境伯と王命で結婚して一年。いまだ『白い結婚』のまま冷遇されるミルテだったが、彼女の心は驚くほどに凪いでいた。
帰る実家がなかろうが、夫に愛人がいようが関係ない。なぜなら、女主人として辺境伯家の総帳簿を裏で精査する日々が楽しすぎたから!
ある夜、午前二時に帰宅した夫の執務室をミルテは突撃する。
「旦那様、どうぞお好きに浮気なさって。私が怒っているのはあなたの愛人ではなく、あなたが信頼している会計士ガロ・パスクの【本物の横領】ですわ」
最愛の『数字』が歪められることだけは絶対に許さない!
愛など求めないドライな天才会計士妻──私の望みは、私の聖域(帳簿)をこれ以上汚させないこと、ただそれだけ。ちょっと旦那様、いきなりすり寄ってくるのやめてくださいます?