あらすじ
**短編の連載版になります! ヒロインの頭が少々(かなり)イカれておりますが、楽しんでいただければ幸いです**
ユリヤ・アレンディアの人生は数奇なものだった。
彼女が幼い頃、その生活は理想そのものだった。
しかし、その幸せが崩れ去ったのは、母が病に倒れた五歳の時のこと。
さらに父までもが戦争によって、帰らぬ人となってしまう。
伯爵家に転がり込んできた叔父一家により、ユリヤはわずか八歳にしてすべての幸せを奪われ、実家のメイドとして働くことを強要される。
そして……。
「叔母様。このドレスのシミは何ですか」
「ああ、それ? 昨日の夜会でワインをちょっと零しちゃってね。明日までに綺麗に洗って……」
「叔母様。ワインというのはですね。零れた直後に拭き取らなければ、そのシミが生地に染み込んで、完全に落とすのが非常に難しくなるのです」
「何ですって?」
「そんな難しくて、汚いワインのシミがこんな風に乾いてこびりついているなんて。ああ、一体どうやって落とせばいいの!!!?」
幼い頃から不当な扱いに浸かりきったユリヤの感覚は、どこかズレていた。
悲しいことに、彼女にはそのズレた感覚を正してくれる者がおらず、不当な扱いが加速するほど、そのズレは不気味な歪みとなっていった。