あらすじ
家族に捨てられた舞姫は、鬼の腕の中で花嫁になる────
皇都最大の舞の家元・飛鳥井(ひどりい)家の律花(りつか)は、継母や異母妹の羽莉(うり)から存在を否定され、使用人以下の扱いを受けていた。
さらに彼女は、他人の死の気配を払い、身代わりとなって己の命を削る禁忌、『神鳥の舞』を舞うことを強要され続けている。
かつて同じ舞で命を落とした兄の言葉を胸に、いつか死ぬ運命を受け入れつつあった律花。
彼女の唯一の願いは、皇都最大の祭り四条大祭の舞姫として指名され、華やかな花舞を舞うことだけだった。
しかし、異母妹の羽莉(うり)のわがままと策略によって、唯一の願いだった舞姫の役すら、彼女に奪われてしまう。
しかし、使用人・玉置と取引をした律花は、冷酷と噂される如月家の冷酷な当主・遠矢(とおや)の力で、四条大祭の舞姫に指名される。怒り狂う妹は、律花の足を簪で刺し、舞姫の座を力づくで奪おうとするのだった。
(諦めなければならないの───? いいえ、私にはこれしかない。私は舞うことが、好き)
血を流しながらも舞台へと上がり、優雅に、花のように舞いきった律花。
意識を失い、高舞台から落ちた彼女を抱き留めたのは、観客席にいた如月家の当主・遠矢(とおや)だった。
「飛鳥井の家に、この娘を嫁によこすように言っておけ」
人々から鬼と畏怖される絶対的な権力者に見出された律花。
理不尽な飛鳥井家の籠から抜け出し、冷酷だが不器用な優しさを持つ当主との出逢いを通して、彼女は自らの本当の価値と生きる意味を取り戻していく──