あらすじ
中学の卒業間際、幼なじみの少女が消えた。目の前で、輪郭が揺らぐようにして——いなくなった。誘拐でも家出でもない。痕跡は何も残っていなかった。
それから10年以上が経ち、主人公は自衛官として東京で暮らしている。あの夜のことを誰にも話せないまま。
ある日、母校に頂上の見えない塔が出現する。政府が封鎖し、世界中が騒然とする中、封鎖区域で働く主人公は塔の壁の向こうから猫の鳴き声を聞く。昔飼っていた猫の声に似た声。導かれるまま壁に手を伸ばすと、身体がすり抜ける。
塔の中、足元にはあの日から変わらないトラ猫が一匹。何かを知っているような目で、主人公を見上げている。
これは、幼なじみにもう一度会うためだけに、時代を登り続け幼なじみの欠片を集めていく物語。