あらすじ
薬学と医術に秀でた子爵令嬢、ユーフェミア・フォン・エルンスト。
婚約者クラウスは何かにつけ「君なら平気だろう」と務めを押し付け、手柄だけを攫っていく。高熱で倒れた夜でさえ、彼が選んだのは、別の令嬢の夜会だった。
誰も来ない部屋で、私は自分のために薬湯を淹れた。そして、静かに決めた。
――長いあいだ差し出してきた手を引くと。
婚約を解消し、王立薬院を辞した私を迎えたのは、誠実な公爵アルヴィス。市井に出回る安価な「万能薬」に潜む毒を見抜く私の目は、公爵領の民を救い、やがて――その毒の出どころが、元婚約者の生家であることを、明るみに出す。
叫ばない。復讐もしない。ただ、献身を引くだけ。
かつて幾度も言われたあの言葉を、私は静かに、お返しします。
「あなたなら、平気でしょう」
有能ヒロインの静かなざまぁと、対等な愛のかたちを描く異世界恋愛