あらすじ
帝国歴321年。
帝都ミレーニアは例年にない寒波と、折からの降雪で凍てついた彫像のように冷えきっていた。
鉛色の薄暗い冬の空の下、帝国の忠臣にして勇猛で名高い、建国以来の上級貴族の第5騎士団団長ゼイラム・テンペストが、今朝国家反逆の罪で刑場の露と消えた。
残された6歳の娘、ロートリット・テンペスト。
彼女も一族に連なる者として、父に続いて処刑されるところにあった。しかしその寸前、父の親友である第1騎士団団長のグレイドル・グランシール将軍が彼女の命を救った。助命されたロートリットは、グレイドル将軍に連れられグランシール家に引き取られた。
家族と帰るべき家を失ったわずか6歳の少女。
ぎりぎりで命を救われた少女は、名門グランシール家でグレイドルの娘シェルファニールと出会う。燃える深紅の瞳を持つ快活な少女シェルファニールは、ロートリットと同い年で、澄んだ青い瞳を持つ冷静なロートリットとは、性格も考え方も正反対だったが、仲の良い友人として、そして家族として、お互いの長所や欠点を補いながら健やかに成長していった。
しかし、彼女たちが少しずつ大人になるにつれて、いつしかふたりの間にほんのわずかに、誰にも見えない亀裂が生じていく。
剣の実力も学業の成績も優秀だが、人の心の動きを読み取るのが苦手なロートリットは、良かれと思って行った自らの行為で、親友のシェルファニールの心を大きく傷つけ、彼女たちの友情は決定的に壊れてしまう。
ロートリットとシェルファニール、ふたりの少女の数奇な人生の流れを描く架空歴史ヒューマンドラマです。