あらすじ

強い想いは消えない。 世界のどこかに残り続ける。 人々はそれを――「残響」と呼ぶらしい。 だが、それが何なのかを知る者はいない。 遠い昔から生き続ける一人の老人がいた。 何故死ねないのか。 何故生き続けているのか。 その理由を知る者は、もう誰もいない。 国は滅び、人々は入れ替わり、かつて存在した歴史さえ忘れ去られていく中で、老人だけが取り残されるように時代を渡り歩いていた。 そんなある日、老人は奇妙な噂を耳にする。 ――強い想いは世界に残る。 ――それを「残響」と呼ぶらしい。 誰も見たことがない。 誰も確かめたことがない。 噂の出所すら分からない。 それでも老人は、その曖昧な言葉を追い始める。 十年もの歳月を費やしながら。 だが何一つ見つからない。 手掛かりも。 答えも。 噂の出所さえも。 果ての見えない旅の途中、老人は吹雪の雪原で一人の少女を拾う。 記憶を失った少女――フィア。 彼女には、場所や物に残された“消えかけた音”を感じ取る不思議な力があった。 過去を持たない少女と、長すぎる過去を抱えた老人。 二人は世界に散らばる「残響」を辿りながら、忘れ去られた想いと消えゆく記憶の中を旅していく。 これは、残された音を探す物語。 そして、誰にも語られることのなかった、ある長い後悔へ辿り着くまでの物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/03
  • 現在の作品アヴェルの残響が聞こえる――千年を生きた老人の終わらない旅