あらすじ
山あいの村に残る古い社。
そこでは長く、誰にも正しく語られないまま“何か”が受け継がれてきた。
高校生の秋月千歳は、幼馴染の白瀬冬真が少しずつ壊れていく違和感に気づく。
夜の記憶の欠落、言葉の遅れ、名前の揺らぎ。
やがて千歳は、社の地下に隠されていた“流し路”と、村が見ないふりを続けてきた因習の構造へ辿り着く。
それは本来、人が背負うべきではないはずの穢れと怪異を流す仕組みだった。
だが壊れかけたその構造を埋めるように、冬真は長いあいだ一人で肩代わりを続けていた。
守られていたことに、最後まで気づかないまま。
千歳は冬真を呼び戻しながら、閉ざされた冬の底へ踏み込んでいく。
名前が遠くなっても、記憶が削れても、それでも残った“意味”を手放さないために。
これは、
一人で守ろうとした幼馴染と、
その背中を追いついて壊しにいく幼馴染の、
冬の終わりまでの物語。