あらすじ

制服姿の少女は今日が入学式なのだろう。  着たのが今日で二回目と言ったように、制服には汚れもしわもなかった。  少女は器用に、本当にダンス競技のリボンを魅せているかのように、返り血を一滴も自分の制服にはつけていなかった。  引き金部分の輪に差し込んだ指で、くるくると拳銃を回す。  どっちが銃口でどっちがグリップなのか、回転数が速過ぎて分からない。  予想をつけても残像の可能性が高いため、確定させるのは難しかった。  すると銃声。  少女が引き金を引いたのだ。  拳銃の回転が止まり、正しい握り方で少女の手の中に収まる。  回転させながら撃った弾丸は、一人の強盗の太ももを貫いた。  だらしなく涎が出る程に口を開けっ放しにして、男が野太い悲鳴の声を上げる。  事件が起きてから僅か十五分。  実質、一分にも満たないが……  今年で十六歳の少女が、体感時間一瞬で、この場を席巻したのだ。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/03
  • 現在の作品飛竜チェイス「前日譚」