あらすじ
史実通りに動かなければ、即・電流。
尾張に生まれた俺の脳内に、ある日インストールされたのは、歴史補正AI「クロホロ」だった。
告げられた個体名は、佐々成政。
最終目的地は、摂津国・尼崎。
死因は、切腹。
いやいやいや。
生まれたばかりでセルフ処刑予約は重すぎるだろ。
本当の俺は、寒いのが嫌いで、責任も嫌いで、できれば布団の中でぬくぬくしていたいだけの男。
それなのに、信長に見いだされ、黒母衣衆に押し込まれ、戦場では勝手に武功を立てさせられ、気づけば越中富山の城主に。
逃げれば電流。
逆らえば身体制御。
泣き言を言えば、なぜか周囲には「不屈の名将」と誤解される。
そして待ち受けるのは、厳冬の北アルプスを越える「さらさら越え」。
寒がりの俺に、雪山を越えろとか、歴史は正気か。
道は見える。
川も、城も、戦場も見える。
でも、人の心だけは見えない。
これは、英雄になりたくなかった佐々成政が、歴史補正AIに尻を叩かれながら、泣く泣く戦国武将を演じさせられる物語。
最後に死ぬのは、俺なのか。
それとも、“佐々成政”という名前なのか。
寒くて、情けなくて、でも少しだけ熱い、強制英雄譚。