あらすじ

東京でアンティーク家具の修復士として働く渋沢修一は、「過去の職人の模倣」しかできない己の空虚さに絶望し、指先に痺れを抱えたまま故郷の海辺の町へ逃げ帰ってきた。  先月亡くなった船大工の祖父の工房で彼を待っていたのは、幼馴染の睦海と、作りかけの小舟。そして、祖父が船底に嵌め込もうとしていた、白く曇った巨大な「砂鏡」だった。  潮騒と古い木材の匂いが満ちる工房で、修一は再び道具を手に取り、鏡の奥に隠された祖父の執念と対峙する。  傷だらけの指先で百年のガラスを切り出したとき、止まっていた男の時間が、冬の青空の下で静かに動き出す。

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カクヨム
カクヨム2026/06/03
  • 現在の作品013『潮騒と白砂の工房』