あらすじ
ゲームこそ人生の本編だと思っていた男、灰谷透。
仕事は生活費を稼ぐための周回クエスト。
残業よりゲーム時間。
睡眠よりイベント周回。
そんな彼は、睡眠を削ってイベントを走り続けた翌朝、歩きスマホのまま駅へ向かい、足元の穴に気づかないまま落ち、命を落とした。
そして異世界で十五年。
孤児の少年トールとして生きてきた彼は、冒険者になった初日、獣用の落とし穴に落ちる。
背中の痛み。
口の中に残る土の味。
登ろうとしても崩れる、湿った土の壁。
彼は、穴の底から出られずにいた。
そこで、前世の記憶がよみがえった。
灰谷透。二十七歳。契約社員。
24時間365日、ゲームを攻略していたい男。
十五歳。孤児。冒険者初日。所持金なし。落とし穴の底。
初期条件は最悪だった。
だが、その瞬間。
ステータスが開いた。
HP。MP。能力値。スキル。
自分の強さが、弱さが、伸ばせる余地が分かる。
何も持っていなかった少年に、初めて武器が与えられた。
剣ではない。魔法でもない。
世界を読み解くための、数字という武器が。
数字が見えるなら、比べられる。
比べられるなら、確かめられる。
確かめられるなら、仕組みが分かる。
そして、仕組みが分かれば、攻略できる。
これは、攻略厨だった男が異世界のルールを読み解き、最悪の初期条件から人生そのものを攻略していく物語。