あらすじ

別の世界で、まあ、それなりの立場にいました。 魔王だの勇者だの王様だの、何か事を起こす前に、とりあえず俺に話を通してくる。 そういう“ドン”をやってた男です。 それが今こっちで何やってるかというと。 六畳一間、家賃二ヶ月滞納、実質無職。 引退するとき、向こうから古ぼけた郵便受けをひとつ持たされましてね。 これがなぜか、まだ繋がってるんですよ。 毎晩、手紙が届く。「魔王城に総務部ができました」「勇者が卒業できません」「至急ご裁定を仰ぎたく」。 だいたい、相談か、愚痴です。 で、それを地方FMの深夜枠で読み上げてます。 こっちで聴いてるのは、四人くらい。 でもどうやら箱の向こうじゃ、異世界の連中が全員、息を殺して聴いてるらしくて。 おかげで、俺が酔った勢いでこぼした一言で、たまに国がひとつ、消えます。 本意じゃないです。俺はただ、お便りを読んでるだけなんですけどね。 ——というわけで、今夜も深夜二時。お便り、届いております。どうぞ、お付き合いください。

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カクヨム2026/06/03
  • 現在の作品帰還者DJの深夜放送 〜異世界からのお便りです〜