あらすじ
聖女を選ぶ、儀式の日。
祭壇の聖具に手をかざしても、ひかりひとつ、返ってこなかった。
「才能なし」——そのひと言で、クロエは故郷を追われた。
おなじ頃、よその国でも。
鐘楼をまるごと吹き飛ばした子。
王城の庭を、ひと晩で森に変えた子。
にらみ合う両軍を、三日まるまる眠らせた子。
「制御不能」「災害級」、出来そこない。
そう烙印を押された元聖女が、ぜんぶで四人。
流れ着いたのは、辺境の村はずれ。
誰も寄りつかない、噂の幽霊屋敷。
〝経歴不問〟の住み込みメイド——その求人だけが、四人を拾ってくれた。
井戸の水は、お掃除のついでに澄みわたる。
熱を出した子どもは、看病のついでに笑いだす。
遠巻きだった村が、少しずつ、ほどけていく。
なのに、当の本人たちはきょとん顔。
自分こそ一番のハズレだと、四人そろって信じ込んだまま。
そうして、今日もお茶を淹れる。
追い出された四人が見つけた、いちばん幸せな居場所。
お茶とお菓子と、ついでの奇跡。
さて——今日は、どんな一日になるでしょう。
※『小説家になろう』にも同時連載されています。