あらすじ

王都の冒険者ギルドで働く受付嬢リズは、いつも泥だらけのブーツで帰ってくる冒険者カイルが少し苦手だった。

 北の凍土帰り特有の灰色の泥。
 無愛想なくせに、怪我ばかり増やして戻ってくる男。

「汚れるんですけど」
「貸しにしてくれ」

 そんな他愛ないやり取りを繰り返すうち、リズの日常にはいつの間にか彼がいた。
 
 だが、大規模討伐の遠征後、カイルは行方不明になる。

 泣けなかった。
 だって、またふらりと帰ってくる気がしていたから。

 ――五年後。
 雪解けの崖から見つかったのは、泥のこびりついた片方のブーツだけだった。

 これは、長い間泣けなかった受付嬢が、ようやくひとつの恋を失うまでの話。

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アルファポリス
アルファポリス2026/06/02
  • 現在の作品「帰ってきてくださいね」と言えなかった受付嬢が、五年越しに泣くまでの話