あらすじ

担当編集が変わった。

新しい担当は三十五歳で、感情が薄くて、何をしても動じない。
怒らない。焦らない。振り回されない。

それが面白くなかった。

面白くなかったから、試した。
試しても動じないから、もっと試した。

気づいたときには、
動じてほしいんじゃなくて、
見ていてほしかった。

「俺のことが嫌いですか」と聞いた。

「嫌いじゃない」と言われた。

「好きですか」と聞いた。

答えが、返ってこなかった。


登場人物

九条 朔(くじょう さく・29歳)
小説家。デビュー五年、三作連続でヒット。編集者をよく困らせる。締め切りを守らない、気に入らなければ原稿を消す、気分で打ち合わせをキャンセルする。試し行動が癖で、相手が動じないと余計にエスカレートする。本音を言えない。言えないから試す。

沖 誠司(おき せいじ・35歳)
フリーの契約編集者。複数の出版社と契約している。感情が表に出ない。怒らない理由は穏やかだからではなく、怒り方を知らないから。人と一定以上の距離を置く癖がある。九条の担当になったとき、三人の編集者が音を上げた後だった。

水島 留(みずしま とめ・32歳)
九条の旧担当編集者。九条の面倒臭さを一番よく知っている。沖に担当を引き継いだ本人。九条のことを諦めていないが、もう担当できる気力がなかった。

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アルファポリス
アルファポリス2026/06/02
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