あらすじ
愛しているのに、夢の中で毎晩恋人を殺してしまう——。
藤堂深雪は、交際三年目の恋人・蓮と幸せな同棲生活を送っていた。喧嘩もなく、毎日愛を囁き合い、来月には婚約指輪を見に行く約束もしている。誰もが羨む完璧な関係。
なのに、半年前から続く悪夢が深雪を蝕んでいく。
首を絞める。刺す。突き落とす。夢の中の自分は、愛する人を殺しながら笑っている。『これでもう、あなたを失わなくて済むね』と。
目覚めるたびに涙で濡れた頬。日に日に濃くなるクマ。隣で穏やかに眠る蓮の寝顔を見るたび、罪悪感で息が詰まる。
——私の中には、化け物が棲んでいる。
こんなにも愛しているのに、なぜ殺したくなるのか。幸せすぎて怖いのか。失うくらいなら、いっそ自分の手で壊してしまいたいのか。
誰にも言えない秘密を抱えて、深雪は今日も『幸せな恋人』を演じ続ける。
けれど、いつまで隠し通せるのだろう。いつか本当に、夢と現実の境界が溶けてしまったら——。
愛と狂気の境界線で揺れる、切なくも歪んだ純愛の物語。