あらすじ
長寿種の旅人ノクトは、かつて旅の途中で出会った少女たちに、剣、魔術、稼ぎ方、生き延びる術を教えた。
泣き虫の騎士令嬢には、剣筋や足元の使い方を。
山奥の少女には、戦う前に逃げ道を見ることを。
魔力を怖がる少女には、強い力の制御方法を。
盗みで食いつないでいた孤児には、盗まなくても食べられる稼ぎ方を。
病弱な少女には、人を救う前に自分を削りすぎないことを。
そしてノクトは、彼女たちに約束する。
「2年後に、また様子を見に来ます」
ノクトは本気で戻るつもりだった。
だが約束の2年目、帰路で旧魔王軍残党の将と遭遇する。ノクトはその魔族を討ち取るが、最期に放たれた禁術によって時空の歪みに巻き込まれてしまう。
本人の体感では、少し長い旅。
けれど外の世界では、10年が過ぎていた。
約束の日、少女たちは先生を待った。
3日経っても、1か月経っても、先生は来なかった。
やがて彼女たちのもとへ届いたのは、王都に広まる噂だった。
灰銀の旅師匠ノクトは、北境で魔族の将と相打ちになった。
遺体は残らず、黒い外套の切れ端だけが見つかった、と。
泣き虫の少女は、泣かずに立ち続ける騎士になった。
山奥の少女は、師匠の仇を追う魔物狩りになった。
魔力を怖がっていた少女は、師匠を蘇らせるため禁術に近づいた。
孤児だった少女は、師匠を探すため商会を作った。
病弱だった少女は、自分を削ってでも人を救う聖女候補になった。
そして10年後。
ノクトは、少し遅れたつもりで帰ってくる。
死んだと思っていた先生が、生きて目の前に現れた時、弟子たちはもう、昔の少女ではなかった。
これは、2年の約束を10年待った弟子たちと、時間の重さを知らなかった長寿師匠の再会から始まる物語。