あらすじ
怪談ライター・相沢真司には、10年間追い続けている失踪事件があった。
高校生だった妹・美咲が突然姿を消した日。
彼女が最後に残したメッセージは、一言だけ。
«助けて»
それから10年後。
相沢はネット上で囁かれる数々の怪異を取材していた。
死亡した男から届く留守番電話。
存在しない404号室。
開けると空なのに閉じると鳴く段ボール。
毎晩増え続ける赤い通知。
そして、誰も近づこうとしない黒い箱。
一見無関係に見える怪談の記録には、ある共通点があった。
必ずどこかに、黒い箱が存在している。
古い写真にも。
戦前の記録にも。
江戸時代の古文書にさえ。
誰が作ったのか。
何のために存在するのか。
箱の中に何があるのか。
何一つ分からない。
ただ一つだけ確かなことがある。
――その箱を観測した者は、消える。
相沢は失踪した妹の痕跡を追い、数百年にわたり人々が避け続けてきた禁忌へと足を踏み入れる。
そして最後に、自ら箱を開く決意をする。
これは、決して観測してはならない怪異の記録である。