あらすじ

結婚式を一週間後に控えた博多在住のOLは、カフェで耳にした「夏色」に、十年前の夏へ連れ戻される。医学部へ進みながらも、いまは普通の会社員として生きる彼女の原点には、港で出会った寡黙な同級生との三十一日間があった。 夏空の防波堤、二人乗りで駆け下りた坂道、花火を見上げた小さな岸壁、そして砂浜に埋められていた小さな瓶。彼が突然姿を消したあとも、その夏は彼女の中で止まったまま、何度も現在へ蘇る。 居場所ごと消えた『港の彼』への終わらない想いと、隣で未来を誓おうとしている新郎への静かな愛。そのあいだで揺れながら、彼女は、自分がどんなふうに人生を選び取ってきたのかを振り返る。 忘れられなかった夏は、ただの過去ではない。 終わったはずの恋に、十年後の彼女がもう一度意味を与えていく。美しく抱え直された記憶が、いまの彼女を形づくっていたことに気づいていく、夏と恋の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/01
  • 現在の作品夏と月のあいだで