あらすじ
「これは嘘だ。でも、なぜ嘘をつく必要があるの?」
天堂葵(てんどうあおい)、高校二年生。
本業は普通の女子高生――のはずだった。
葵には、生まれつき奇妙な「感覚」がある。
食べ物を口に含んだ瞬間、その食材が育った環境、保管状態、加工の過程がありありと「見える」のだ。腐敗を嗅ぎ取るのでも、毒が光るわけでもない。ただ、口の中に広がる情報量が、普通の人間とはケタ違いなだけ。
ある日、有名料亭の親族が毒殺されかけた事件に巻き込まれたことから、葵は渋々ながら謎解きに引きずり込まれる。相棒は、学校一の問題児にして超絶イケメンの嘘つき少年・九条凱(くじょうがい)。
彼は言う。「お前の舌は、嘘をついた料理を見抜ける。俺の目は、嘘をついた人間を見抜ける。最高のコンビだろ?」
「…お断りします」
断れなかった。
口の中で溶ける料理の記憶と、解けていく人間の嘘。
食と謎と、ちょっとだけ胸がざわつく日々の、少女の物語。