あらすじ
影宮透真は、十年以上一緒に過ごしてきた幼馴染の雪代依織に、ずっと尽くしてきた。朝は起こす。弁当を作る。勉強を教える。体調が悪ければ、誰より先に気づく。
けれど依織は、そんな透真の優しさに甘えていた。
「透真なら、最後には私のところに戻ってくる」
そう思っていた依織は、クラスメイトにからかわれた勢いで、透真を軽く突き放してしまう。
「ごめん、今日からお弁当いいや。別に頼んでたわけじゃないし」
「透真ってさ、彼氏でもないのに、彼氏みたいなことするよね。まわりに見られて恥ずかしいとか、そういうのないの?」
依織にとっては、ただの冗談。
けれど透真は、本気で傷ついた。
その日から、透真は依織の隣を離れる。
そんな透真を拾ったのは、クラス最強ギャル、天羽羅依奈だった。
「毎日弁当、いいじゃん」
「いらないなら、ウチがもらう」
強くて明るくて、いつもクラスの中心にいる羅依奈は、透真の不器用な優しさに少しずつ救われ、少しずつ依存していく。
いっぽう、依織は曇り始める。
透真の隣にいるのが、自分ではない。
透真の弁当を食べているのが、自分ではない。
透真の優しさを受け取っているのが、自分ではない。
「透真は、私の幼馴染でしょ?」
捨てたつもりはなかった。
でも、もう透真は戻らない。
ふたりのヒロインは、透真をめぐって重くなっていく。