あらすじ
小学六年生の春川撫子は、人の気持ちを考えすぎてしまう優しい女の子。友達にも家族にも本音を言えず、いつも周りに合わせてしまう。
そんな撫子にとって、唯一の心のよりどころだった祖母・桜が春休みに亡くなった。悲しみに沈むある夜、祖母が営んでいた洋菓子店『さくら菓子店』で、一冊の古いレシピ本を見つける。
『大切な記憶のために』
そう書かれたレシピ本を開いた瞬間、まばゆい光に包まれた撫子は、不思議な世界へと導かれる。
そこは、人々の「大切な記憶」が集まる空の上の世界――『記憶の島』。
島で出会った妖精ネルケは、桜がかつて島中で知られる伝説の『記憶菓子職人』だったと語る。記憶菓子職人とは、人々の思い出や願いをお菓子に変え、心を癒やす特別な職人のこと。そしてなぜか撫子も、祖母のレシピ本に選ばれた新たな記憶菓子職人候補になってしまう。
戸惑いながらも島で暮らし始めた撫子は、さまざまな人たちの大切な記憶と向き合い、お菓子を作るなかで少しずつ成長していく。
やがて彼女は、祖母が島に残した秘密、そして誰にも言えなかった自分自身の本当の気持ちと向き合うことになる――。
これは、お菓子と記憶がつなぐ、小さな勇気と成長の物語。