あらすじ
高校一年生の立原なつきは、
一年前の事故で、最愛の兄を失った。
命日の夜。
想い出の詰まった公園で出逢ったのは、
どこか優しい香りを纏った大学生
――辻はやて。
初対面のはずなのに、
彼はなつきを見た瞬間、思わず抱きしめた。
戸惑うなつき。
はやてもまた、同じ事故で弟を亡くしていた。
大切な人を失った痛み。
誰にも見せられなかった涙。
それを分かち合うように、二人の距離は少しずつ近づいていく。
優しく寄り添ってくれるはやてに、
なつきは次第に惹かれていく。
そして知る――
彼がずっと想い続けていた“特別な存在”が、自分だったことを。
けれど、まっすぐに想いを伝えてくるはやてに対して、
なつきは自分に自信が持てず、その気持ちを受け止めきれない。
想いはすれ違い、
時に傷つけ合いながらも――
それでも、もう一度。
二人は手を取り、あの日乗り越えられなかった“喪失”と向き合っていく。
親友・蓮の決断。
そして、はやての弟が遺した想い。
それぞれの優しさが重なったとき、
止まっていた時間が、静かに動き出す。
――喪失の先にある、優しい恋の物語。