あらすじ

「いちごは赤ければ赤いほどおいしいらしい」と祖母は言った。スーパーの果物売り場で、白いところの残った実をよけながら。その言葉を疑う理由もなく、私は長いあいだ、迷いなく赤いものを選ぶ人間になった。 転機は些細だった。ある冬、まだ白い温室いちごをひとくち噛んだとき、思いがけなく甘かった。正しいとも正しくないとも言えない甘さが、するりと舌の上を逃げていった。 誰かに借りた「正解の色」を、自分の舌でゆっくり覚え直していく、静かな短篇。

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カクヨム
カクヨム2026/06/01
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