あらすじ

衣服や資産ではなく、限界まで磨き上げた肉体の定数のみで人間を査定する聖域「港区」。仕立てに百万円を要する高級スーツを脱ぎ捨て、全裸の彫刻「アントニウス級」として入区した「私」は、支配レイヤーの女・オクタヴィアヌスと出会う。衣服なき街での高密度な皮膚の対話、そして品川への追放という恐怖。自己を定数化する夜の規律に身を委ねる一方、昼の「私」は富裕層の衣服という記号に埋没し、自己を見失っていく。夜と昼、動的な身体と静止した思考の差延の果てに、「私」が管理局の最後尾から逃げ出したどり着いたのは、いかなる地図にもない、放棄された名もなき港だった。 他者の審美眼をすべて解体した暗闇のなかで、剥き出しの「石」となる男の硬質な独白。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/06/01
  • 現在の作品「彫刻の港」