あらすじ
相馬透は、難解なバグ修正や脆弱性解析を高額で請ける、二十代のフリーランスプログラマだ。
ある夜、IoT 管理アプリの表示ズレ案件を調べていた透は、ログには残らないはずの処理が、机上のクリップを動かしていることに気づく。
偶然ではない。
錯覚でもない。
条件を削り、最小再現コードを作り、ログと録画を突き合わせた先で、透は結論にたどり着く。
この世界には、現実そのものに作用するバグがある。
最初は仮想キーボードや空間入力のような小さな道具を作り、誰にも見つからない範囲で楽しむだけだった。
だが、現実の裏側に残るログには、透のものではない干渉痕が混ざっていた。
世界には未修正の脆弱性がある。
それを悪用する者がいる。
そして、現実を修正する上位存在もいる。
実在したバグ、脆弱性、開発現場のあるある不具合をモチーフに、現実世界の裏側をデバッグする現代異能サスペンス。
最強の武器は、万能チートではない。
観測し、再現し、原因を切り分け、壊すためではなく直すためにコードを書くことだ。