あらすじ
「ねえ、この蜂蜜酒には毒が入っているの。一緒に飲んで、一緒に逝こう?」――夜会の庭園で、見知らぬ令嬢から差し出された死への誘い。没落貴族の末裔・神代蓮は、明日首を吊る予定だった。だから彼女の手から杯を受け取り、躊躇なく口をつけた。けれど――二人とも、死ななかった。十年間婚約者に愛されず、嘲笑われ続けてきた令嬢・咲夜。全てを失い、生き延びてしまった自分を憎む蓮。世界に捨てられた者同士、月明かりの下で交わした奇妙な契り。「死ぬのは――もう少し、先にしない?」彼女の提案から始まる、壊れかけた二つの魂の物語。死を望んだ夜に出会った僕たちは、互いの傷を知り、支え合い、やがて――。毒杯から始まる、切なくも温かい再生の恋愛譚。