あらすじ
人間は、案外簡単に消える。
事故や病気の話じゃない。
昨日まで隣にいた人間が、まるで最初から存在しなかったみたいに消えてしまうことがある。
少なくとも尾鹿葛葉は、そういう話を何度も聞いてきた。
都内の片隅にあるBAR『命の灯火』。
夜になると、行き場を失った人間たちが集まる。
酒を飲み、愚痴を吐き、誰にも信じてもらえない話を置いていく。
最初はただの噂だった。
酔っ払いの作り話。
誰かの勘違い。
そう思っていた。
だが気付けば、その話の続きを知る人間は誰もいなくなっていた。
これは、一人の男と怪異の記録。
そして、人が人でなくなっていく物語である。