あらすじ
■ あらすじ
七つの大陸を恐怖で統べた魔王バルゼーグは、最も信じた宰相に裏切られ、玉座の上でひとり灰になった。「力だけは裏切らない」──その確信ごと、彼は焼かれた。
目を覚ますと、見知らぬ街の安アパート。魔力はほとんど封じられ、使えば寿命が削れる体。所持金もなく、唯一拾った仕事が、午前五時始まりのごみ収集だった。
人間どもの捨てた汚物を運ぶ屈辱。だが回転板に巻き込まれかけた若い同僚を、とっさに残された力で救ったとき、彼は気づく。この街にも、守るべき者と、奪う者がいる。そして奪う側の頂点に立っていたのは、あの裏切りの宰相が転生した男──巨大産廃企業を率い、人も土地も「捨てられる物」として扱う蛭川だった。
潰れかけた小さな清掃会社の仲間、見守りを待つ独居の老人、ごみに埋もれて生きる青年。かつてなら踏み潰した「弱者」のために、覇王は初めて、自分の意志で手を汚していく。
本当の強さとは、支配することではなく、誰かのために膝をつくことだった──力を取り戻すか、誇りを取り戻すか。最後の朝、彼が選ぶものとは。
■ テーマ/前提
テーマ(一語):強さ
前提(一文):人を支配して得た忠誠は灰になり、人に尽くして得た信頼だけが残る。ゆえに本当の強さとは、玉座に座る力ではなく、誰かのために膝をつく力である。