あらすじ
あらすじ
高校三年の春。
進路希望調査票が配られ、教室には少しずつ“将来を決める空気”が流れ始める。
朝比奈恒一は、真面目で目立たないごく普通の高校生だ。
成績は悪くない。周囲からは「ちゃんとしている」と思われている。
けれど、進路希望調査票の前に座るたび、彼の手は止まる。
行きたい場所も、なりたいものも、はっきりとは分からない。
自由に選んでいいはずなのに、何も選べない――そんな焦りだけが胸に積もっていく。
一方、クラスメイトたちもまた、それぞれ違うかたちで将来に揺れていた。
空気を壊さないように笑い続ける親友。
期待された進路を当然のように背負う優等生。
“自由”に見えるSNSの人気者。
反抗的な態度の奥に傷を隠した同級生。
そして、行きたい場所があっても簡単には選べない少女。
誰もが「自由になりたい」と言いながら、
本当は自由の先にある責任や喪失を恐れている。
親の期待、学校の空気、友人関係、SNS、家庭の事情――
さまざまなものに揺れながら、彼らは少しずつ、自分の本音と向き合っていく。
これは、
“何でもできること”としての自由ではなく、
“自分で選び、その結果を引き受けること”としての自由に触れていく、
高校生たちの静かで痛みを伴う青春群像劇。
自由になるのが、怖かった。
それでも、選ばなければならない季節が来る。