あらすじ
誰もが彼を「太陽のような善人」と呼んだ。あの日、ビルの屋上から落ちるまでは。
デジタル遺品整理会社で働く真壁瑞希(26)の仕事は、死者が遺したスマホやPCのデータを、遺族にバレる前に完全消去すること。他人の「隠された裏の顔(ログ)」を覗き見ることだけを密かな愉悦としていた瑞希のもとに、ある日、大学時代の完璧な先輩・香坂陽太のスマホが回ってくる。
死後49日でデータが消滅するタイムリミットの中、瑞希が執念でロックを解除した先にあったのは、フォロワー0人の鍵アカウント、通称『蟻地獄』。そこには、陽太を精神的に搾取し、死へと追い詰めた「身近な人間たちの醜悪な秘密」が大量に保存されていた。
「先輩の代わりに、私が全員お墓に入れてあげる」
瑞希は手に入れた最悪の武器(データ)を使い、匿名アカウントから「偽善者たち」への告発を始める。ネット社会の断頭台で、次々と引き摺り下ろされていく標的たち。圧倒的な全能感に酔いしれる瑞希。
しかし、スマホの最奥に隠された最後の暗号を解いた瞬間、瑞希の足元はガラガラと崩れ落ちる――。
死者が命をかけて遺した、本当の「願い」とは。
現代の自意識の病理を限界までエグり、人間の醜さの最深部で「本物の光」に出会う、イヤミス×激泣きの怪物的一作。