あらすじ
蘇生が当たり前になったはるか後の時代。
[あらすじ]
蘇生に気づいてしまったあの日。人類は知る由もなかった。
無限の世界が有限のゲームと化したことに。
人生から有限性が取り払われると、先に終わるのは世界の方だ。
あれから数千年。
死んでも生き返る勇者たちは次々とクエストをクリアし、新たなクエストをアンロックする。
ステータスを上げ、新たなスキルを習得し、脅威を排除し続け、ある日気がつく。
物語が終盤に差し掛かっている哀愁に。
人類の能力はカウンターストップし、キャラクター間の差異は消え、未達成のクエストは残りわずかとなった。
過去に流された膨大な血と涙、怒りと悲しみ、苦痛の全てが目指してきた、平等で争いのない理想郷。
格差がないなら争う理由がなく、死がないなら慌てる必要もない。
だが皆が感じていた。愛しい世界に流れる終末の郷愁。
この世界が我々に提供してくれる全てのクエストをクリアした時、人類がこの世界でなすべきことの一切、存在意義の一切は消失する。
フルコンプリート問題。
我々はどこで間違えたのか。いや、間違えてもそのたびに反省し、誠実に歩んできた。
ならばなぜこんなにも寂しいのか。
クリア後のゲームと化した世界で男と女は賭けをした。
「私がリタイア(安楽死後、蘇生しない措置)を決意するまでに、物語を取り戻してみせて。」
「それができなければ、僕たちは永遠に虚無の砂漠の中だ。耐えられるだろうか。」
満月の夜空に人間の最後の願いが響き渡る。
物語をくれ。そのために生き、そのために死ねる物語を。
[完結済]全4話+エピローグ