あらすじ

宝飾商から届いた礼状に、知らない女の名前があった。 伯爵夫人マルグリットは五年間、領地の帳簿も交渉もすべて担ってきた。 夫は「君がいるから安心だ」と笑っていた。 その安心を支えていた手で、夫の嘘を掘り当ててしまった。 宛先不明の支出は、結婚した年の冬から続いていた。 問い詰めた夫の言葉は、謝罪ではなかった。 大げさに考えるな、と。 マルグリットは泣かなかった。 翌朝、婚姻契約書の離縁条項を開いた。 引き継ぎ書を完璧に仕上げてから、伯爵家を出た。 五年分の仕事を当然のように使った夫。 感謝もなく裏切ったその人のもとを去った。 手元に残ったのは、帳簿を読む力だけだった。 その力を、今度は誰のために使うのか。 そしてその仕事を、ずっと遠くから見ていた人がいる。

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小説を読もう2026/06/01
  • 現在の作品裏切らない夫だと信じていました。離婚届は私が用意いたします