あらすじ
王都の七つの水門を動かす時刻を決める水門暦係、ミレーナ・カルヴァ。潮位表を読み、橋鐘を数え、封鉛札を照合する地味な仕事を、婚約者ジュリアンは「潮時を読むだけ」と笑った。
そして彼は、新しい花嫁候補セリーヌを婚礼船で王都へ迎えるため、ミレーナに不正な開門許可を出せと命じる。断れば婚約破棄。従えば、下町の水路は逆流し、洗濯場も市場も沈む。
ミレーナは婚約指輪を外し、水門暦に朱線を引いた。
「本日の婚礼水門は、開けません」
橋鐘守、下町の職人、治水監査官エリオの立ち会いのもと、軽んじられた水門暦係の記録が、華やかな婚礼行列の嘘を暴いていく。これは、捨てられた職人令嬢が王都を守り、自分の潮時を選び直す物語。