あらすじ
「本当の私を、見つけて」――。深夜の校舎、ガラスに張り付いた無数の顔。
私立藍慈学園。偏差値は高いが、異常なほどの裏垢文化に毒された進学校。
ある深夜、写真部の鳴海は、撮影のために忍び込んだ旧校舎で、見てはいけないものを見てしまう。
消えたはずの女子生徒たちの顔が、窓ガラスにびっしりと張り付き、こちらをじっと見つめていたのだ。
彼女たちは、SNSの「行方不明者リスト」から消し去られた少女たち。
それ以来、鳴海のスマホには、深夜の校舎から送られてくるはずのないDMが届き続ける。
『見てるよ』『私を推して』『もっと私を消費して』。
窓ガラスを叩くのは、雨音ではない。
少女たちが必死に訴えかける、ネット上の「通知音」だ。
鳴海は、SNSを一切やらない自分のスマホが、いつの間にか「少女たちの顔データ」のサーバーへと書き換えられていることに気づく。学校という閉鎖空間は、死んだ少女たちの自意識を物理的に転送し、永遠に「コンテンツ」として消費し続けるための、巨大なサーバー施設だったのだ。
検索し、見つけ出し、いいねを押す。
それが、この学園に課せられた、死よりも恐ろしい「推し活」のルール。
鳴海は、行方不明のヒロイン・朱音の痕跡を追い、この狂ったサーバーの管理者である「神」の正体を暴こうとする。
だが、その背後には、ガラスを突き破って侵入してくる「顔の塊」が、静かに、そして確実に迫っていた。
「いいね」を押せば、君は僕の一部になる。
青春の墓標と化した閉鎖空間で繰り広げられる、本格推理×物理的怪奇ホラー。