あらすじ
世界は、独自の歪んだ規範を持つ国々に分断されていた。
名前も目的もない旅人・マキは、一台の車を走らせ、それらの国々をただ「観測」し、通過していく。
外界の異常なルールから切り離された車内(聖域)でマキが耳にするのは、車載システムであり不完全な記録体でもある「シノ」の、砂嵐のようなノイズ混じりの声だった。
ハンドルを握るマキの手元で、カーステレオの周波数がズレるたび、壊れた世界の切ない寓話が浮かび上がる。
ただ記録し、ただ去る。電波の波形が紡ぐ、静謐で退廃的な一話完結型の連作短編ファンタジー。